先日開催されたものづくりコンテストで、見事金賞に輝いた天草工業高校・情報技術科3年の𠮷本吏穂(よしもと りほ)さん。 誰よりもものづくりと向き合い、何度も失敗を重ねながら辿り着いたその頂点。熊本県1位の称号を手にした小さな職人の、熱い挑戦の裏側に迫ります!1ミリのズレも許さない。焦りのなかで掴んだ「金賞」の舞台裏各学校から腕自慢の生徒たちが集まる「熊本県ものづくりコンテスト 電子回路組立部門」。 県で1位という素晴らしい結果を残した𠮷本さんですが、大会が終わった直後の本音は「悔しい思いをした部分が多かった」という、少し意外なものでした。制限時間は2時間半。その厳しい戦いは、まずはんだ付けで電子回路(基板)を組み立て、その後にプログラムの課題を解くという、2つのステップで行われます。ここで𠮷本さんに、大きな誤算が生まれました。 「基板作り」に予想以上の時間がかかってしまい、プログラムに回せる時間がなくなってしまったのです。結果、全部で8問ある課題のうち、クリアできたのはわずか2問だけ。しかし、審査員から告げられた結果は、最高賞の「金賞」だったのです!絶望的な状況をひっくり返し、彼女をトップへと導いたもの。それは、彼女がものづくりで何より大切にしてきた「徹底的な正確さ」でした。 「配線をまっすぐにすること。そして、自分で考える回路そのものを正確にすること。ここを妥協すると、後から絶対に動かなくなってしまうんです」 プログラミングの遅れをカバーして余りあるほどの高い点数を叩き出したのは、1ミリのズレも許さない、丁寧な職人のような技でした。現在、彼女はそのこだわりを胸に、弱点となったスピードの克服を目指しています。「早く、しかも正確に作る」というさらに高い目標を掲げ、次の大会ではプログラムを全問クリアできるよう、日々練習に励んでいます。一人の練習を支える、放課後のあたたかい思い出ものづくりに対してどこまでも一生懸命な𠮷本さんですが、放課後には別の顔もあります。 普段はボランティア活動を行う「インターアクト部」に所属。同じ工業高校の先輩でもある実のお姉さんから「社会経験を積んでおくといいよ」と、優しく現実的なアドバイスをもらったことが、入部のきっかけでした。現在は、コンテストの練習に加えて資格試験の勉強、さらには就職活動も重なり、土日も休まずに腕を磨く忙しい日々を送っています。 そんな彼女に、高校生活の一番の思い出を尋ねると、ふっと18歳らしい柔らかな笑顔が返ってきました。「文化祭の準備です。ひとつのものをグループで作るために、教室に遅くまで残って。友達とああでもない、こうでもないと言い合いながら作業した時間が、本当に楽しかったです」 一人ではんだごてを握り、黙々と基板に向かう寂しい練習。それを支えているのは、かつて放課後に仲間たちと賑やかに笑い合った、あの充実した時間なのかもしれません。目指すは九州大会入賞、そして全国の舞台へ次のステージは、地元・熊本で開催される「九州大会」です!各県の代表が集まるレベルの高い戦いを前にしても、𠮷本さんの目標ははっきりしています。 「苦手なプログラムを中心にしっかり対策をして、本番に挑みたいです。進路に向けた面接の練習やテスト勉強も重なって大変な時期ですが、残りの高校生活、ずっと成績をキープしたまま最後まで頑張り抜きます」「進路が決まったら、思いっきり休みたいです!」と素直な本音ものぞかせつつ、その言葉には強い芯がありました。九州大会で上位に入れば、その先には北海道で開催される「全国大会」の舞台が待っています!自分の技術と、そして自分の弱点ともまっすぐに向き合い続ける𠮷本さん。彼女の手がつなぎ合わせる正確な回路は、きっとまだ見ぬ未来の舞台へと、まっすぐに繋がっています。